スマホ,ゲーム.

 大学に入ってからテレビを観なくなったのはこの前書いたけど,もう一つしなくなったことがある.それはビデオゲームで,中学・高校の頃,僕はわりとゲーマーだったのだけど,ゲーム機が高価なのもあり,大学に入ってからはほとんどコントローラを握っていない.
 そんな僕だから,学校でよく聞いたような,ゲームは巧妙に快楽を与える麻薬のようなものだという話は一面的だということには昔から気付いていたのだけれど,その一方で近年,まさに(依存性のある)麻薬のようなスマホゲーも増えているという話もちょくちょく耳にする.工学的な発想でハマるようにデザインされ――それは必ずしも快感を与えることを意味しない,というのはひとはしばしば全く快くない行為に依存するからである――ビッグデータを用いて常に難易度調整がされているとか,そんな話.
 それで,実際にいくつか流行のゲームをインストールしてやってみると,確かに,この上ない快楽は感じないものの,のめり込ませるように上手くデザインされている思った.個人的には,それは訳文を見ながらオーディオブックを聴く行為や,辞書を読む行為を連想させた.どちらもずっと続けていると倦怠感を感じるものの,作業を続けるのに大した努力はいらず,のめりこんでしまえば,いつ作業を切り上げればいいのか分からなくなるような行為だ.訳文を見ながらオーディオブックを聴く行為にのめりこんだひとを僕は自分以外には知らないけれど,辞書中毒のひとなら昔から世界中にいる.それは大した快感をもたらすわけではないけれど,とにかくいい暇つぶしになるのだ.スマホゲームもそれと似たようなものだ.
 というわけで僕の中ではスマホゲームは辞書中毒やオーディオブック中毒のようなもので,唯一の違いはスマホゲームには学びがないことだけど,だからといって,スマホゲームを馬鹿にする気にはなれない.ただ言えるのは,スマホゲームから学べることはほとんどないので,もし,ゲームがあまり面白くないにも関わらず,そのゲームにのめりこんでしまっているのなら,さっさとアプリをアンインストールするべきだということだ.