うつ

 ツイッター上には,精神を病んでいる,というか心因性鬱病になってるアニメアイコンのひとがかなりの数存在する.彼らは同時に社会不安障害やアスペ―ルガー症候群を患っていたりするわけだけど,彼らのツイートには共感できるような部分が多いし,コンテンツとしても――彼らの多くは明らかにある程度自己を演出している――とても面白い.
 彼らの大部分に共通するのは自分に関係のないことへの無関心で,これは彼らが自分のことで精一杯だから仕方がない.それに,ネトウヨを見ているとよく分かるように,余裕のないひとがへたに社会について考えるとろくなことにならないので,これは彼らなりの正しい方法でもあるだろう*1
 ともあれ,ここで僕が思うのは,自分に関係のないことに無関心なひと――僕もそうだ――はかわいい,ということだ.というのは,いま・ここの自分には直接関係のないことと関わりを持つにはそれなりの非人間的な努力が必要になるからで,それは大人になるための努力でもあるのだけど,自分に関係のないことに無関心なひとはそんな努力はせずに,いつまでも自分の身の回りの環境だけを気にしている.その子供っぽさがかわいいと思う.
 さて,自分に関係のないことに無関心なひとといえば,鬱のひとに限らないわけで,そういう意味では鬱以外のひともかわいく見えるはずである.けれども,僕はやはり鬱のひとに惹きつけられる.それはたぶん,いつまでも子供のままではいられないように社会ができているからだろう.そんな社会の中で,感情を殺さずに――もっとも鬱が悪化すると感情はなくなるのだが――生きているのが何かとても正しいことのように思えるのだ*2
 

*1:もっと言うと,日本の社会が健全じゃないのは,日本人の気質以前に,長い労働時間のせいで,国民が社会について考える時間が十分にないせいなんじゃないかという気がする.

*2:とはいえもちろん,鬱は可及的速やかに治癒させるべきだ.それから,すべての鬱が心の持ちようの問題というわけではないし,みんなが子供っぽい感情を忘れなければそれだけで社会がよくなるというわけでもない.ここで言えるのは,子供っぽい感情が正しいときもあるということだけだ.