ミーハーサブカル人文思想系と軽く会話するためのブックガイド的な何か

 小さいころ,世の中のインテリというのはみな人文書を読むものだと思ってたのだけど,後になって,どうやらそうじゃないらしいとゆことに気がついた.僕は趣味で人文書を読んでるだけだけど,人文書を読まない人に自分ならどんな本を勧めるかと訊かれると,たぶん以下の5冊を挙げると思う:


1) 哲学マップ

哲学マップ (ちくま新書)

哲学マップ (ちくま新書)

2~3時間で哲学史がだいたいわかる良著.


2) 文学とは何か

文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫)

文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫)

ちょっと古くて難しいけどこれで文学理論とかポストモダンとかがわかる.


3) 動物化するポストモダン

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

良くも悪くもゼロ年代批評を切り開いたと名高い書物.


4) 別のしかたで

別のしかたで:ツイッター哲学

別のしかたで:ツイッター哲学

ポストモダン界隈のトップアイドルの世界観がよくわかる断片集.ある程度読んでないと分からないような批評や思想に対する感覚がつかめる貴重な本でもある.


5) 資本主義が嫌いな人のための経済学

資本主義が嫌いな人のための経済学

資本主義が嫌いな人のための経済学

ゆるふわ人文書にありがちなあやしい経済論/経済学批判への耐性をつけるのにちょうどいい本.


 僕が人文書の読者になったのはポストモダン思想がきっかけだったから,そっち系中心のセレクションにはなってるけれども,読書経験があまりないひとでもちょっと頑張れば読み通せる本を,できるだけ変なバイアスが入らないように選んだつもりだ.で,なんでこんなところに,どこにもあるようなブックガイド的なものをいちいち書いたのかとゆと,僕は自分の意見を瞬発的に述べるのが苦手で,どこかで整理しておかないと,何も言えなくなってしまうからだ(現にこの前もすきな作家の名前を訊かれて答えるのにひどく時間を費やしてしまった).このリストに欠点があるとすれば,(大文字の)政治思想が入ってないことと,日本や英米系の思想や,古典的な哲学をほとんど無視してることが挙げられるだろうけど,僕としては,とりあえず上の5冊を読めばそこそこミーハー人文思想系的な知性が身に着くんじゃないかと思っている.