なんか

 サブカルチャーのことを大衆文化だと勘違いしてた時期が僕にはあった.というのも高校の頃,クラスの大半の人はアニメを観ていたからで,サブカルチャーを知っていれば誰とでも会話できるんだとてっきり思い込んでいたのだけど,サブカルチャーというものはその名の通り,大衆文化に馴染めなかったひとたちがのめり込むもので,ぜんぜん文化のメインストリームじゃなかったということに大学に入って気が付いた.それで,ハイカルチャーの話題もサブカルチャ―の話題も通じないひとと話せる共通の話題が一つもないことに愕然とした.
 他人に話せる共通の話題が一つもないというのは,僕としては喜ばしいことですらあるけれど,飲み会のような社交場ではそんな態度は許されないわけで,けっきょくそんな場で黙ることしかできない僕はいつも気まずい気分になる.それなら飲み会に行かなければいい,というのはその通りで,実際,僕はなるべく飲み会には出ないようにしてるのだけど,それでも年に何回かは絶対に出なきゃいけない機会がある.そのたびに空気を読まないひとが世の中に殖えればいいと思うし,大衆文化が滅びればいいとも思うのだけど,マルチチュードの到来を信じられるほど能天気でもないので,気分は暗くなる一方で,どうしようもない.