中心

 就職のことが頭の中の何パーセントかを支配するようになってから,自分の中の世界の中心の位置が揺らぎつつあったりする.というのは僕は高校の頃からずっと世界の中心というのはアカデミズムの世界だと思っていて,それはそれで正しかったのだけど,社会に出て生きていくことを考えると,世界の中心というのは,たくさんの企業がひしめき合ってイノベーションや経済戦争を行っているゲームボードのことのように感じるからで,そのゲームのルールを僕はほとんど知らないのだけど,アカデミズムのゲームと較べるとだいぶ理不尽で,くだらないもののような気がしている.そんなくだらなさの中でこの先生きていかなきゃならないのは耐え難いことのように感じる.それはそうと,ビジネスマンの世界観だとやっぱり,自分の近くにあるのは(具体的な意味での)経済で,その次に政治,社会,文化が続くのだろうか.もしそうならそれは僕の認識と真逆だし,大学にいるたいていの人とも違うだろう.人文系の知識人は明らかに経済の具体的な状況より文化・社会・政治のほうが詳しいし,理系だと自分の専門と趣味以外の事柄には全く興味を示さない人も多い.僕は普通に就職するならたぶんエンジニアになるのだろうからそんな理系のひとりのように振る舞ってもいてもいいはずではあるのだけど,イノベーションのジレンマという概念すらあるくらいに企業というものは不安定なものだから,どこに勤めることになっても自衛のための知識は着けておくに越したことは無いと思う.