何でも一人でやってしまう教会の牧師さんがいました。投資家だった先祖の遺産を受け継ぎ、お金だけはたくさんあったので、あまりまじめに布教せず、他に仕事もせず、狭い教会に閉じこもり、休みの日の月曜日には絵を書き、ピアノを演奏し、他の日も、暇さえあれば本を読んでいました。そしてそのどれにも退屈しながら過ごしていました。
そんな牧師さんの前に、一人の少女が現れました。家出して、帰るところがなくて、迷い込むようにしてやって来たのです。彼女は教会に泊まりたいと言いました。牧師さんにとってそれは容認できかねることだったので、両親に連絡するために電話番号を聞こうとしましたが、少女は黙り込んだままで、うまく行きませんでした。
警察に連絡することも考えたのですが、少女がどうしても嫌だと言い張るので、牧師さんは少女を一晩だけ泊めてあげることにしました。眠気が訪れるまでの間、少女は牧師さんの他には誰もいない月曜日の教会を隅から隅まで歩き回り、牧師さんの書いた絵や、蔵書の山を片っ端からひっくり返していきました。寝る前になって、少女は本を読んでとせがむので、少女が眠りにつくまで、牧師さんは聖書を少女に読み聞かせてあげました。
朝になるとーー牧師さんは早起きで、六時には活動を開始するのですがーー少女のすがたはすでに見当たりませんでした。それでは少女は幻だったのか。牧師さんは一瞬そう考えますが、本棚を見ると、新約聖書が一冊なくなっていました。それで、牧師さんは確信を得て、久しぶりに天に向かって、心を込めて、祈りました。心の底では神がこの世界に影響を及ぼすことなど信じていなかったのですが、やはり祈らずにはいられなかったのです。その後、牧師さんが少女に会うことは、二度とありませんでした。